フランス国立大学、美術史修士課程留学をされたTさん。【フランス】【留学】【インタビュー】

フランス留学を実際にされている(されたいた)方へインタビューを通して、フランスでの実際の留学生の生活をご紹介!

今回は、フランス中南部の都市リヨンのリヨン第二大学に修士課程として修士課程を行なったTさんにインタビューを行っています。

今回のインタビュイー、Tさんのプロフィール
  • 日本で仏文学の学士課程修了
  • 2022年の秋から2024年の夏、リヨン第二大学の修士課程に留学、修了
  • 趣味は現代アート鑑賞、旅行

どうしてフランス留学を?

初めにフランスの大学院に留学するに至った経緯と理由を教えてください。

元々、海外旅行が好きで漠然と海外に住みたいという願望がありました。フランスに留学に行く前から、大学生として一人でヨーロッパや東南アジアを巡ることが多かったです。

海外旅行をして新しい場所をおとづれるときに、現地の美術館を常に訪ねるようにしていました。特に現代美術館はその国の社会問題を色こく反映していたり、その国の文化政策が手に取るようにわかるので、大学の間に現代美術に徐々に興味を持っていきました。

大学でも、美術について学び、卒論も美術史に関することを書きました。また、学部生のときに学芸員課程を履修し、美術館の制度を勉強しました。

美術のことを勉強していくうちに、徐々に本格的に現代美術を勉強したいという気持ちになっていきました。

日本の大学院に進学するか、海外の大学院に進学するかという選択をしなくてはいけなかったのですが、海外の院に挑戦してみたいという気持ちがあったのと、費用の面を比較してそれほど変わらなかったことから、海外の院に進学することにしました。

ずっと昔からフランスが好きというわけではなかったのですね。

とりわけフランスの文化が好きということではありませんでした。

しかし、大学でフランス語を勉強していたことと、自分の勉強したかった現代美術の中でも大陸ヨーロッパの現代美術に興味があったことから、フランスに行くことにしました。

最初はフランスという国自体には興味があるわけではなかったのも事実なのですが、2年間住んでみて今では大好きな国になりました。

フランスに留学するにあたり、家族から反対などはなかったのでしょうか。

留学するにあたって、あまり家族から反対派ありませんでした。

もともと放任主義の家庭で、自分の一人旅なども応援してくれていました。

また、僕自身2020年からのコロナの影響で、いわゆる学生ライフを満喫できず、実家にこもっていたので、家族も応援してくれたのかもしれません。

留学の準備期間

フランスの大学院に進学するにあたり、どんな準備をしましたか?

フランスの大学進学をするにあたり意識したことは、こんな感じです。

  • GPAの底上げ
  • フランス語の習得
  • フランス留学の情報の下調べ

まず、フランスの大学院に留学するにあたり、日本の大学の成績を上げる努力をしました。一般的に、フランスの大学院の留学はそこまでGPAは見られないらしいのですが、少しでもプラスに働くように努力しました。

特に私の場合、留学を決める前の1年生、2年生の頃はダラけた大学生活を送っていてGPAが結構低かったので、3年生、4年生の専門の授業は真剣に取り組みました。

また、フランスの大学に進学する場合、最低でもB2レベルが求められることを知り、DELF B2を受験しました。当時、仏検は持っていたのですが、フランスの大学受験に仏検が使えないとしり、勉強をDELFに切り替えました。

最後に、フランスの大学院の受験、フランスの生活などを調べるために、Webサイトなどを読み漁り、情報を収集しました。ときには、日本語での情報が少なかったので、フランス語のサイトを原文で読むこともありました。ウェブサイトを読むことも結果として勉強になりましたね。

大学院の受験はどのように行われましたか?

キャンパスフランスを通して行いました。

2021年の暮れに出願し、2022年の初頭に面接を受け、春頃には続々と結果が出てきました。

私が志望していたのはフランスの国立大学だったので、キャンパスフランスを通した受験をスムーズに行えました。

数ある大学の中で、なぜリヨン第二大学を選んだのですか?

  • パリ以外の地方都市に住みたかったこと
  • リヨン第二大学には日本の現代美術を専門にしている先生がいたこと

キャンパスフランスに出願するにあたり、パリへの出願はあまり考えていませんでした。

生活費が高すぎることと、地方都市に住んでみたかったことが理由です。留学の予算が潤沢ではなかったため、パリという選択肢は外れました。また、私自身、東京出身なため、留学中は中規模な都市に住んでみたいという願望がありました。

キャンパスフランスでの面接ののちに3つの学校から合格をもらったのですが、その中でもリヨン第二大学を選ぶことにしました。リヨン第二大学には日本の現代美術を専門にしている先生がいたので、恩恵を得ることができるかなと思ったためです。

実際に、日本を専門にしている教授の手助けで、論文の執筆の捗りました。これから修士に出願巣用としている人は、日本での大学院を選ぶときのように、学部だけでなく教授の専門も考慮して受験するのがいいと思います。

リヨンの川沿いの街並み

実際の留学生活

留学中はどんな生活をしていましたか?

私の場合、交換留学ではなく正規留学生だったので、他のフランス人の生徒と同じ授業を受けていました。

具体的には、こんな感じです。

  • 美術史の授業(必修)
  • 地域別、テーマ別、現代美術史の授業(選択)
  • 英語の授業(必修)
  • 美術史研究のデータベースの授業(必修)
  • 美術史関係の講演会の出席(必修)

特に、選択授業の現代美術師の授業がとても面白く、勉強になることばかりでした。

フェミニスムと美術、コロニアリスムと美術、マージナリゼーションと美術というような、既存の美術史の枠組みを再編成するような作業を直で見ることができました。

しかし、美術史を勉強する上で、現代思想家(ボードリヤール、サルトルなど)たちの引用が多く出てくるので、哲学に慣れていない私には大変でした。

特に試験期間になると、フランス式の小論文であるディセルタシオンの準備に追われました。

この小論文は日本の小論文と形式が大きく異なっており、たくさん暗記をしなければいけないと同時に、思考の深さを問われるので、日本式のテストに慣れている私には大変な時間でした。

幸い同級生たちがノートを見せてくれたので、なんとか全てのテストに合格することはできました。

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留学生として辛かったことはありますか?

やはり、最初の方は自分の語学能力が足りず、授業についていくことができませんでした。

教授が興味深いことを話していることはわかっていても、細部まで理解することができないのがむず痒かったです。

しかし、授業が始まって数ヶ月もするとなんとか徐々に教授たちが言っていることもわかるようになってきたため、ついていくことができました。

留学生活中の一番の思い出を教えてください。

楽しかったことでいえば、修士課程を無事に終えることができたときでしょうか。

2年間の努力が実ったような気持ちになりました。特に、最初の方は「修士課程なんて絶対できない・・・」と自信をなくしていた時期も長かったので、無事に終えられた時は胸がいっぱいになりました。

また、留学中たまたまリヨンで開かれた国際美術史学会にボランティアとして参加することができ、最先端の研究を目にすることができ勉強になりました。

辛かったことは、留学生活の最初の3ヶ月です。

周りに友達もいない、頼れる人もいない、日本の友達と連絡しようにも時差で通話もできないという状況で、かなりストレスが溜まっていました。

リヨンで行われた国際美術史学会の様子

私生活について

学校以外の時間はどのように過ごされていましたか?

学校以外の時間は、現地でできたフランス人、日本人の知り合いと遊ぶことが多かったです。

リヨン第二大学に隣接しているリヨン第三大学には日本語学科があるので、そこで日本語を勉強しているフランス人の人たちと遊ぶことが多かったです。

週末は小旅行に出かけたり、足を伸ばすこともありました。特にリヨンは東に行けばアルプス、南に行けば地中海があるので、電車で数時間移動するだけで色々な場所に行けるのがy良かったです。

長期的な休みがある時は、フランス国内で遠出したり、ヨーロッパの他の国に行くこともありました。自分の勉強していることに関連して、2年に一回開かれる現代美術のお祭りの「ベネチアビエンナーレ」にいくこともできました。

  • ブルターニュ
  • ニース、カンヌ
  • モンペリエ
  • パリ
  • ベネチア
  • クラクフ(ポーランド)
  • ブダペスト
  • ロンドン、エディンバラ

【留学中訪れた町のリスト】

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留学の予算は、大体どのくらいかかったのでしょうか?

大学院の学費はかなり安かったです。1年間で200ユーロ程、2年間で合計400ユーロほどしか払っていません。

一般的にフランスの国立大学では日本人留学生は4000ユーロほど払わなければならないのですが、自分の言っていたリヨン第二大学では、特別に日本人学生もフランス人学生と同じ学費でいいという措置をとっていました。そのため、学費というような学費はほとんど支払っていません。

生活費としては、旅行、娯楽費を除いて1000ユーロほど毎月かかりました。修士の2年目からは生活費を賄うために、リヨンの飲食店でアルバイトも始め、毎月600ユーロほど稼いでいました。

私生活で辛かったことはなんですか?

私生活で大変だったことは、日本との生活のギャップですね。

フランスには24時間空いているコンビニもなければ、娯楽施設もあまりありません。フランスにきて最初の方は困惑したのを覚えています。

食生活も大きく変わりました。日本では安いものがフランスでは高かったりと、食生活がガラッと変わりました。

この日本とフランスのギャップも徐々に楽しめるようになってからは、生活が楽になりました。

最後に

最後にこれからフランスに大学院留学に来る人に伝えておきたいことはありますか?

このインタビューを見ている人は、フランスの留学に心配があったり、留学に行くのが怖い人も多いのかと思います。

でも、実際に来てみると絶対になんとかなるし、辛いことがあっても最終的には楽しかったなと思えると思います。

ありがとうございました。