美術館に行かない人が、なぜ美術館に足を運ぼうと思わないのか。【美術】【アート】

  • 美術館ってなんか足を運びづらいんだよね。
  • アートの世界ってなんか難しそう。
  • 美術館ってそもそもどんな人がいってるの?

この記事はそんな「美術館に普段足をあまり運んでいない方」のために、

大学で美術史を学び、学芸員課程を修了し、年に数十回は美術館に足を運ぶ美術館プチオタクの私が解説します

こんにちは。バゲちゃんです。大学生です。美術史を勉強しています。

美術館・ギャラリーのイラスト

突然ですが、皆さんは普段、美術館に足を運ばれたりしていますか?

普段から美術に興味があり、ある程度の知識があり、美術館が多く集まる都会の地域に住んでいる方の人の中には、

美術館にはほぼ毎週行ってるよ!

と言うような熱心な美術館ラバーの方もいらっしゃいます。

逆に、元々美術に関する知識が少なく、美術館が多く存在しない地域に住われている方の中には

美術館なんて子供の頃に行ったきり、ほとんど言ってないなあ。なんか、足を運ぼうと思わないんだよね。。

というように、美術館にほとんど行ったことのない方もいます。

確かに僕も、小学校、中学校の頃の校外学習の時に美術館に行って以来、自分で美術館に行こうと計画したことはないなあ。

確かに、大人になると、自分で美術館に行こうと思わない限り、美術館に足を運ぶと言うことは無くなるよね。。。

この記事では、普段美術館に行かない方が、

  • なぜ美術館に行こうと思えないのか
  • どうして美術館を身近なものと捉えることができづらいのか
  • 美術館の持つイメージが人によって異なるのか

という点を、美術史を学び、学芸員課程をおさめた私が、考察してみました。

よろしければ、最後までご覧ください。

結論
  • 国民全体の4分の1は、一年で一度も美術館に行っていない
  • 美術館にいけない、行かない理由として、「近くに美術館がない」「入場料が高い」「美術館に行く時間がない」「美術に関する知識がないため嫌厭されがち」ということが挙げられる。

どれくらいの人が美術館に足を運んでいないのか

平成31年に行われた文化庁の世論調査によると、

あなたは、この 1 年間で、どの程度、コンサートや美術展、アートや音楽のフェスティバル、歴史的な文化財の鑑賞、映画その他の文化芸術イベントを鑑賞しましたか。

という質問に、

  • 鑑賞したと答えた方が、53.9%
  • 鑑賞しなかったと答えた方が、46.1%

という結果になりました。

さらに、

あなたが、この 1 年間に鑑賞した文化芸術のジャンルは何ですか。(複数回答)

という質問に、

  • 美術と答えたのが 45.3%

という結果になりました。

(こちらでの美術は建築なども含まれ、単純に美術館に行かれた方はさらに少なくなることが予想されます)

出典:https://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/pdf/r1393020_01.pdf

割合としては結構な割合で、「直近1年で美術館に行かなかった」と答えた人がいるんだね。

単純計算で、この一年で美術館に行ったと言う人は、全国民の4分の1に満たないと言うことがわかるね!

一年に一度美術館に行く人は、全国民のの4分の1未満に留ま

どうして美術館に足を運ぶ人が少ないの?

美術館に年に一回でも行く人は全体の4分の1未満であることは分かったけど、どうして美術館に行く人はこんなに少ないんだろう?

それには色々な理由があるけど、

  • 近くに美術館がない
  • チケット代が高い
  • 美術館に行く時間がない
  • 美術に関する知識が少ない

ということが理由になるんじゃないかな。

近くに美術館がない

現在、日本に存在する国立の美術館は、

  • 東京国立近代美術館
  • 京都国立近代美術館
  • 国立映画アーカイブ
  • 国立西洋美術館
  • 国立国際美術館
  • 国立新美術館

の6つになっています。

その全てが、東京、京都、大阪と言う大都市に集まっていて、地方の人にはどうしても足を運ぶづらい立地にあるということがわかります。

http://www.artmuseums.go.jp/

さらに地方自治体が運営する美術館、博物館も、そのほとんどが県庁所在地がある場所に存在しているため、道県の中でも都会に近い場所に住われていない場合は、そうしても立地に何があります。

例えば、愛知県の県立美術館である、愛知美術館は名古屋市内にあります。愛知県も広いので、愛知県内の場所によっては、行くだけでも数時間かかってしまう場合があります。

国立、公立の美術館は大都市であったり、県庁のある場所に立地していることが多いから、どうしても地方に在住していると、足を運びづらいよね。。

どうしても大きめの美術館は、

  • 収蔵品の運搬
  • 収蔵品の管理
  • より多くの人に展示品を見せる
  • より安全に管理する
  • 海外への意識

のために、大都市に置くことが多いんだ。

国立、公立の美術館は、大都市に集中していることが多いので、地方に住んでいる方には遠いことが多い

チケット代が高い

公立の美術館に対して、私立の美術館は地方にも立地している場合が多く、地方に在住の方は私立の美術館の方が行きやすいという場合もあるでしょう。

しかし、私立の美術館は、館や展示にもよりますが、一般的に公立の美術館よりも入場料が高い傾向があります。

美術館の入場料
美術館値段
国立、公立美術館300-500円ほど
私立美術館800-1200円ほど

例えば、日本一入場料が高い美術館と呼べれる「大塚国際美術館」の入場料は、当日券を購入すると、大人一人3300円します。

立っている家族のイラスト

大人二人と子供二人の四人家族で言ったら、8000円近くもするんだね。。

もちろん、素晴らしい収蔵品がたくさんあるので、一度は行ってみて欲しいけど、日常生活に組み込む、「普段使い」するには、「安い」とは言えないね。。。

このように、美術館の中には入場料だけでも費用がかかってしまうものもあり、どうしても足が遠のいてしまう場合があります。

往復の交通費、現地での食事代などを入れると、美術館に行くだけで5000円近くお金がかかってしまう場合があるんだね。。。

美術館の中には入場料だけで1000円を越すものも多く、普段から訪れるには安いとは言えないものもある

美術館に行く時間がない

美術館に足を運びづらいという方の中には、

  • 仕事に追われて自由に使える時間がすくない
  • 育児中で、子供をおいて美術館には行きづらい
  • 他にやらなければいけないことがある

というような方もいるのではないでしょうか。

先程の文化庁の調査では、子育て世代は文化施設に行く頻度が減っているという調査結果も出ています。

美術品を見るという行為は、そのまま自分の生活に直結するものではないため、人によってはどうしてもわざわざ美術館に行くという行為に意味を見出せない人もいるようです。

確かに、自分の生活に追われてしまって、美術館に行くどころではないって人もきっといるよね。

私も、大学のレポートであったり、アルバイトに追われている時期が、あまり美術館にいけない日が続きました。。

美術館に行く時間を他のことに当てたい人もいる

美術についてよく知らない

美術館に行こうと思えない理由の最大のものに、

美術ってよくわからない!!!!!

って言いますよね。

「美術ってわからない!!!」という疑問には、私も100%同意します。

私自身、もう5年ほど美術の勉強をしていますが、それでも美術ってわかりません。

そもそも、美術の歴史自体が、既存の表現から逸脱、克服しようという動きそのものでもあるので、そもそも美術を一つの方法で理解すること自体が不可能であるとも言えます。

特に、現代美術になると、「見て美しい!」と思うものだけではなく、ある程度美術の知識があった上でないと楽しみづらいものもあります。

皆さんは、印象派という言葉は聞いたことがありますか。

この印象派という言葉や潮流も、当時ヨーロッパで主流だったアカデミック、古典的な表現から克服するために、明るい色彩、筆致の分割を行い、豊かな色彩を手に入れました。

つまり、印象派絵画の楽しみ方として、そのまま見て色彩を楽しむことに加えて、歴史的にどのような動きがあったのかを楽しむ方法があるわけです。

美術に関する知識が乏しいので、美術を楽しみづらい

でもちょっと待って!!!!

そもそも、美術館のような公共施設には、教育的な側面があります。

つまり、美術を知らない人にも美術に関する知識を得てもらうと言う役割があるため、

私、美術に関する知識なんてないしなあ。。

と、思う必要なんて全くありません。

むしろ、美術館に行くことで、何かしら美術に関する新しい発見をしてもらいたいという目的のために美術館は存在したいるとも言えます。

私自身、今の美術史の知識の数割は美術館に直接行くことで得られたものです!

しかし、美術を100%楽しむためには、ある程度の知識が必要になり、どうしても勉強が必要になってきます。

ある程度美術に慣れ親しんできたら、書籍などを読むとより美術を楽しめます。

そのためには、

  • 美術手帖のようなウェブサイト
  • 文献、雑誌

に目を少し通すだけでも、美術の知識を手に入れることができます。

私のお勧めとして、西洋の美術の歴史を辿ろうとするはじめの一冊に、「西洋美術史ハンドブック」という本をお勧めします。

西洋の美術を古代から現代まで網羅的にざっと解説しているので、一度目を通して見るだけでも、簡単な西洋の美術的な動向を知ることができます。

また、サイズとしても小さく、軽いので美術館に実際に足を運ぶときに持ち歩くことができ、調べたいものをすぐに調べることができます。


また、現代美術の動向を知りたい方には、中公新書の「現代美術史」もお勧めです。

少し専門的なことも書かれていますが、戦後から現代に続く西洋、日本の現代美術史を解説しています。


まとめ

いかがでしたでしょうか。

普段、美術館に行かない方の中にも、色々な事情があることがお分かりいただけましたでしょうか。

やはり、美術そのものは、人間の生死に関わる分野ではないため、人によってさまざまな考え方があるようです

私個人的には、色々な方に美術体験をしていただきたいですが、なんとも難しい問題ですね。

最後までご覧いただきありがとうございました。

結論
  • 国民全体の4分の1は、一年で一度も美術館に行っていない
  • 美術館にいけない、行かない理由として、「近くに美術館がない」「入場料が高い」「美術館に行く時間がない」「美術に関する知識がないため嫌厭されがち」ということが挙げられる。

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